全日本同和会東京都連合会「子らにはさせまい この思い」

同和問題の完全解決を図るとともに、民主主義社会の建設に寄与することを目的としています。

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東京都連合会 活動方針

 同和問題が我が国固有の重大な人権問題であり、長く国民を分断し、差別される側の人間を苦しめ、差別する側の人間の精神を蝕んできたことは疑いを入れない事実です。封建主義の時代に国の統治の手法として考え出されたこの身分制度は、同じ国に生きる人間の心を分断し、人間関係をたいへん不幸な、歪んだものにしてきました。明治4年のいわゆる解放令も宣言のみにとどまり、開放を保障する具体的な施策も行われず、差別の実態は変わらないものでした。その後、各地の同和地区住民から自主的な運動が起こり、後に大正11年3月3日の全国水平社創立へとつながりました。この創立大会における水平社宣言は日本の民主主義の歴史においても画期的なものとなりました。しかし、昭和初期から軍事色の強い時代に入り、同和運動は停滞しました。日本において人権の確立あるいはその重要性への認識が始まったのは日本国憲法成立後と言ってもよいと思います。

 終戦後の昭和21年には部落解放全国委員会が結成され、同和運動が再開されますが、同和問題への認識と政治的な理念の相違からこの委員会を脱退した人たちが中心となり、昭和35年5月10日、全日本同和会が発足しました。そして今日に至るまで50年以上にわたり、「子らにはさせまいこの思い」をスローガンに、国民的課題である同和問題完全解決のため運動を行ってまいりました。

 我々東京都連合会はその地方組織のひとつであり、東京の同和問題の実情を精査し、会員および関係者の訴えと東京都の同和行政の間に立ち、問題解決に立ち向かっております。特に、平成14年3月の特別法失効後は、ともすれば同和問題が一般国民の心から遠ざかる風潮の中で、そしてまた我々と行政側の同和問題に対する認識との隔たりの中で、厳しい活動を進めてまいりました。

 同和対策審議会答申において、「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは断じて許されないことであり、早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」との認識が示されておりますが、差別の問題は国に解決の責務がある理念上・実態上の問題であると同時に、地域や個人の生活において生ずる具体性を持った問題であります。

 ここで東京都の同和問題に対する姿勢について話します。

 昭和42年に誕生した美濃部都政以降、東京都は、同和問題の解決は都政の重要な課題と認識し、昭和44年には同和対策本部が発足しました。昭和51年、当時の都知事であった美濃部亮吉氏は東京都同和問題懇談会に対し、「都政における重要課題の一つである同和行政のあり方に関し、東京の地域の実態に則していかにあるべきか」について諮問し、同懇談会は、昭和53年、「東京都における同和行政の基本的なあり方」について答申を行いました。その中では、「国の同対審答申で示された基本認識を踏 まえ、東京の地域的特質に適した施策を推進することの必要性」が述べられているの ですが、これがその後の東京都における同和行政の性格を決定したと言ってよいと思います。同懇談会の答申においては、大正10年の内務省による同和地区の調査と昭和10年の中央融和事業協会による調査を挙げ、それらと比較して、

  • 歴史的にかつて存在した同和地区も現在では、旧態のまま存在しているところは少なく、関東大震災や戦災等によって形態が崩壊・変化し、さらには戦後の流入人口の激増による混住化がすすんで、明確な把握がきわめて困難である。
  • 東京都には他府県に所在する同和地区の出身者が多数来住しており、血縁や地縁的な関係にたよって東京に流入し、また、伝統的な産業に従事しているものが多い。比率としては、東京におけるかつての同和地区出身者より、むしろこの来住人口のほうが圧倒的に多いことが推察される。この他府県からの来住者についても、その実態は明確に把握されていないのが現状である。

と述べられております。また総理府による全国同和地区調査が、昭和42年、46年、50年と実施されたことに対応して、東京都も昭和43年から51年にかけて歴史的に文献や 伝承等によってかって同和地区があったとされる地区の調査を行ったが、これらの調査も調査対象地区の急激な変貌と地区住民の協力が必ずしも得られなかったため、東京都においては、同和対策事業特別措置法に定める「対象地域」指定は、高い混住状 況や当該区市町村当局及び同和地区出身者を含めて住民の中に見うけられる慎重論又は反対論等のため、現在に至るまでなし得ない状況にある、としています。

 現在でも東京都の認識はこの答申を基本としていると思いますが、東京都教育委員会から発行されている人権啓発学習資料である「みんなの幸せをもとめて」のなかでも、「都内の一部には、歴史的社会的沿革から同和問題を内包している地域が存在する」としています。そもそもこの問題に対しては、答申が出された当初から民間運動団体による認識の違いが際立ち大きな論争となったものです。今日の東京都が公にしている認識は、東京都が話し合いをしているとする我々以外のふたつの運動団体の立場を折哀したものに思えてなりません。

 懇談会による答申から30年以上たち、環境改善事業も行われ実態面での格差は解消されたと言ってよいと思いますが、心理的差別の面ではインターネットや他の通信機器の発達により差別やいじめが酷いものになっているように思われます。

 同和問題の解決には国の施策と同時に、同和教育や啓発が必要となります。そして 教育・啓発がどのようになされるかが重要です。同和問題を単に歴史的事実として、あるいは現在も存在しているが自分とは縁のないところで起こっているもの」と認識するだけでは、教育が生かされません。自分の身近にあるいじめや社会的優越感あるいは劣等感、更にはある種の他人への無関心などが、この日本社会に深く根付いたど のような精神性から生み出されたものなのかを認識できなければ、人間としての生き方に生かされないと思うのです。差別を一貫して排除する姿勢は身に付かないと思います。

 東京は、人口だけではなく社会的機能も集中している場所です。インターネットの接続業者も東京に集中していると思われます。このような場所においては、なお一層、啓発や人権教育が必要となります。昨今では、インターネット上へ差別的書き込みや文章の掲載があった場合の対処についての接続業者の責任が論じられることが多くなってきましたが、明らかな差別と認められる発言についても、言論の自由という観点 からその発言の正当性を主張する人たちがいることに驚きます。一般の利用者に自覚 が求められるのと同様に、インターネット接続業者にも差別を許さないとする決意を 求めたいものです。我々は今こそ時代と都市の性格をよく観察して解決策を探らなければならないと思います。

 さて同和問題解決への方策として、行政による施策と差別を生まないための教育について話しましたが、これだけでは差別が無くなりそうもありません。刑事犯罪に対し刑事罰が存在しても、なかなか犯罪は無くなりませんが、差別問題の場合は、刑事罰が実質上存在しないと言ってよい状態です。教育・啓発という予防措置だけでは、悪意のある差別行為を無くすことが出来ません。今日の差別は匿名性が高いので、その卑劣な行為はエスカレートするばかりです。国のレベルの話では、人権擁護法案が出された後、その欠陥について活発な議論がなされておりますが、一向に正式に法制化される兆しが見られません。

 確かに人権を保障するということは、憲法にもあるように国レベルの問題ですが、個々の自治体の条例でも差別を禁止することは可能です。青少年保護の観点から重い刑事罰の伴う条例や、個々の自治体で刑罰が異なりますがいわゆる迷惑条例の中に細かく違反行為を特定している条例もあります。禁止すべき差別行為をはっきりと決めることは可能です。次々と抜け道を考える不届きな人間が出てきても、その都度新たに対応すればよいと思います。スプレーなどによる公共施設や地下街、トンネルなどでの単なる落書きと差別的落書きでは罪の重さは違います。マスコミなどで差別用語や差別表現が問題となり、いわゆる言葉狩りと言われるような状態になり、それが活発な議論となった時期がありますが、やはり社会が受け入れてはならない言語表現はあると思います。罰則規定を設けることも必要だと思います。テレビ放送などでは、 時々不適切な発言があったと謝罪がなされることがありますが、そのレベルの問題ではないきわめて強い悪意のある差別表現がインターネット上には見られます。

 罰則規定を設けることに躊躇する自治体が多いと思いますが、差別やいじめは物理的暴力と同じく人を死に至らしめるものであることを忘れてはならないと思います。

 当会には、昨今の経済情勢の悪化の影響と思われますが、会員以外の方からも雇用差別、職場でのいじめ等に関して相談が寄せられます。派遣社員およびフリーターへの差別、新卒者・既卒者での差別、突然解雇通知を受ける人たちとそうではない人たちの問題等、やっと多くの人たちが差別構造の根底にある種の精神構造が存在していることを実感し始めたようです。人として扱われたいと言った若者がいましたが、彼 は職場での経験でそう発言したのでした。現代の若者は弱いとか、大袈裟であると片付けるのはよくないと思います。同和問題の本質である身分差別について申しますと、士農工商は職業的呼称ですが、エタ・ヒニンは職業的な呼称ではありません。社会参 加が出来ない、その機会を奪われた「人間外の人間」という扱いがこの呼称にも表れております。職業的な階層化は人間の社会生活・経済生活の発展の歴史から見れば人類のどの社会にも見られたものですが、日本社会が内包した同和問題はこれとは異なるものです。同和問題は解消していないのは勾論のこと、その根底にある歪んだ精神は全く克服されておりません。今こそ、我々はこの問題に国民的課題として真剣に取り組むべきであると思います。国と国民の熱意が薄れ始めてからも新たに多くの子供 たちが生まれてきているのです。

 我々全日本同和会東京都連合会は、以上のことと会員からの意見・要望を集約して 以下の項目を平成27年度の活動方針と定めます。

  • 人権侵害事件には全会を挙げて対応し、被害者の救済に当たる。
    インターネット上の差別的発言には特に注意を払い、改善に向け接続業者への積 極的な働きかけをする。
  • 差別を禁止する条例の制定を求め、具体的な内容につき都議会および東京都と頻繁な折衝を行う。行政と緊密な連携を保ち、婚姻、就職、職業、教育、住居、 社交など一切の差別を撤廃し、差別的偏見を打破するための積極的な啓蒙広報活 動を行なう。
  • 社会的施策の拡充、産業経済の伸長、教育文化の向上、生活環境の改善、啓蒙教育活動の強化を主軸とする総合的同和・人権対策の樹立、実行を強力に推進する。
  • 同和問題に関する一切の差別を解消するため、大きな意味での「障害者に対する問題」「高齢者に対する問題」「男女間における差別問題」「外国人差別問題 」「子供社会におけるいじめの問題」など、社会の弱者に対する諸問題に関し、 組織の総力を上げて運動を展開する。

当会と同じ、または紛らわしい名称を使用して活動する団体がありますのでご注意ください。